【ネタバレあり】映画『プロジェクト・サイレンス』感想・レビュー|“犬”が襲ってくる!沈黙の中で人間性が試される極限サバイバル

韓国映画

2024年に韓国で公開された映画『プロジェクト・サイレンス』は、空港連絡橋の崩落事故というリアルな災害描写に加え、“正体不明の犬”による襲撃という異色のスリラー要素が加わった衝撃作です。

主演は、惜しくも2023年に他界した俳優イ・ソンギュン。本作は彼の遺作としても注目されており、観客に強烈な印象を残すヒューマンサスペンスとして完成しています。この記事では、作品の見どころや感想、考察をネタバレありで深掘りしていきます。

映画『プロジェクト・サイレンス』とは?【作品概要】

原題:프로젝트 사일런스(Project Silence)
公開日:2024年7月12日
脚本:キム・テゴン
主演:イ・ソンギュン、チュ・ジフン、キム・ヒウォン、パク・ヒボン、ム・ソングン ほか
ジャンル:パニック、スリラー、ヒューマンドラマ
配信情報:U-NEXTにて独占配信中

あらすじ

360°海に囲まれた空港大橋で、濃霧の中、突如として多重事故が発生。爆発によって有毒ガスが広がり、救助ヘリさえ墜落するという最悪の事態に。橋は崩壊寸前、生存者はわずか116人。脱出経路も見えぬ中、さらなる恐怖が襲いかかる。実はその日、極秘裏に“ある実験体”が移送中だったのだ。

その名は〈エコー〉——。音と声を識別し、匂いと体温を察知して標的を確実に仕留めるよう設計された軍事用の実験体。制御不能となったエコーは、生存者すべてを“敵”と見なし、霧の中で狩りを始める。

逃げ場のない橋の上で、人間たちは極限のサバイバルに挑むことになる——。

感想|3つの視点から本作を語る

感想①|“犬”の襲撃と極限状態の恐怖がリアルすぎる

まず特筆すべきは、ただの自然災害だけでは終わらない“犬”による襲撃という設定。序盤はあくまで事故パニック映画として始まりますが、やがて状況はサバイバルホラーへと急変。

脱走したのは、軍事利用目的で遺伝子改変された“軍事実験体〈エコー〉”。崩壊寸前の橋という閉ざされた空間に、音や匂い、体温で標的を追跡し殺傷する生物兵器のような犬が放たれるという設定は、それだけで恐怖の臨界点を超えてくる。

しかも、視界ゼロの濃霧の中で繰り広げられる襲撃シーンは、敵の姿が見えないことが逆に恐ろしく、サスペンスとスリラーの要素を強烈に感じさせる。音響演出も素晴らしく、足音や唸り声、吠え声が観客の神経を逆撫でするように響く。

感想②|群像劇としての人間模様が胸を打つ

© 2024 CJ ENM Co., Ltd., CJ ENM STUDIOS, BLAAD STUDIOS ALL RIGHTS RESERVED

出典:プロジェクト・サイレンス公式サイ

本作は、単なる災害パニック映画にとどまらず、極限状況に置かれた人間たちのドラマを丁寧に描いた群像劇でもある。橋の崩落という未曽有の事故に直面した生存者たちは、各々が守るべき存在や過去の後悔を抱えており、その背景が少しずつ明かされていく構成が秀逸だ。

主人公ジョンウォンは、仕事一筋だったがゆえに娘との関係が希薄となっていた父親である。彼が本当の意味で父親になるまでの葛藤と変化は、本作の感情的な軸となっている。また、チュ・ジフン演じるレッカー車の運転手は、当初こそ利己的に映るが、予想外の場面で人間的な一面を見せることで、物語に深みを与えている。

そのほかの登場人物も、金や名誉のためではなく、誰かを守りたいという純粋な思いで行動を起こしていく。その姿は、危機的状況における人間の本質を浮かび上がらせ、観る者の心を強く揺さぶるのである。

感想③|スタッフ陣とキャスト陣の魅力が光る

『プロジェクト・サイレンス』が他のパニック映画と一線を画すのは、実力派のキャストとトップクリエイターたちによる盤石の布陣にある。主演のイ・ソンギュンは、作品の公開を前に惜しくもこの世を去り、本作が遺作となった。ジョンウォンという寡黙で不器用な父親像を、抑制された演技で見事に体現しており、観る者の胸を打つ。

また、チュ・ジフンは詐欺師というクセの強いキャラクターにユーモアと人間味を巧みに織り込み、物語に多層的な魅力を加えている。さらに注目すべきは、ジョンウォンの娘を演じたキム・スアンである。『新感染 ファイナル・エクスプレス』でも父娘の絆を印象的に演じた彼女が、本作でも成長した姿を見せ、作品の感情的支柱となっている。

脚本には『新感染』のパク・ジュスクと、『神と共に』シリーズのキム・ヨンファというヒットメーカーが参加しており、パニックとヒューマンドラマを巧みに融合させたストーリーテリングが際立つ。まさに韓国映画界を代表する“超強力タッグ”による結晶といえる作品である。

配信情報|『プロジェクト・サイレンス』はU-NEXTで独占配信中

映画『プロジェクト・サイレンス』は、現在U-NEXTにて独占配信中です(※2025年8月時点)。大画面とヘッドホンで観れば、霧の中に潜む“音の恐怖”がより鮮明に感じられるはず。災害×スリラー×人間ドラマが融合した本作、ぜひご自宅でその緊張と衝撃を体感してみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました