向井康二、恋の温度がまったく違う——『Dating Game』で見せた“新しい表情”とは?

dating game 海外ドラマ

『LOVE SONG』で“抑えきれない想いを抱えたカイ”を演じ、その“沈黙の芝居”で多くの視聴者を惹きつけた向井康二。そんな彼が出演するタイドラマ『Dating Game〜口説いてもいいですか、ボス!?〜』は、同じくタイを舞台にしたBL作品でありながら、まったく異なる“恋の温度”を見せてくれる。本稿では、ネタバレなしで『Dating Game〜口説いてもいいですか、ボス!?〜』の魅力を紹介していく。

“恋はゲームからはじまる”——ミッションが感情を動かす物語

主人公ヒル(マーチ=チュターウット・パタラカムポン)は、控えめで自分の魅力に気づいていないITオタク気質の青年。ゲームデザイナーとして憧れの会社に入社するものの、初日から想像を超える事態に巻き込まれてしまう。大好きだった恋愛シミュレーションゲーム「Yuka! Love Me Please」のサービス終了。そして、その決断を下したのが厳格な日本人社長・ジュンジ(向井康二)。夢見ていたキャリアのスタートは、あっという間に崩れ落ちてしまった。しかしここから、物語は“ゲーム制作”と“現実の恋”が交差していく方向へ進む。

ヒルは、Yukaを救うために男性キャラの恋愛シミュレーションゲームという新プロジェクトへの参加を決意する。このゲームの開発には、“プレイヤーが恋に落ちるキャラクター”を作るための、リアルなモデルが必要だった。最初のミッションは、その“完璧なモデル”を探すこと。だが候補者はことごとくジュンジにNGを出されてしまう。厳しい基準により、モデル探しは完全に行き詰まる。そこでヒルが考えた、大胆でありながら誰も想像していなかった提案——

「ジュンジさん自身を、ゲームのモデルにしませんか?」

この一言が、物語を大きく動かす。本来なら人とほとんどコミュニケーションをとらない厳格な社長・ジュンジが、“ゲームのために”モデルを引き受けることになる。ここで生まれるのが、ミッションを通じて2人が距離を縮めていく構造だ。最初のミッションは、チャットアプリすら使わないジュンジに“友達追加してもらうこと”。これはただのタスクではない。ヒルとジュンジという、本来交わるはずのない2人が“同じ方向を見る”ための最初の一歩となっていく。

『Dating Game〜口説いてもいいですか、ボス!?〜』の大きな魅力は、恋が自然発生するのではなく、ミッション”という仕掛けが2人の距離を動かしていく構造にある。初めての2人きりの食事。上司と部下という関係を超えた、ほのかな温度。ミッション中にのぞくジュンジの意外な表情。ヒルの素直さに揺れる心。すべては“仕事”として始まるのに、そこに生まれる感情は決して作り物ではない。ゲームのために近づいた心が、いつの間にかゲームを超えてしまう。

『Dating Game』は、恋が偶然ではなく、“与えられたミッションの中で育っていく恋”を丁寧に描いた作品だ。ミッションが距離を縮める。ミッションが本音を引き出す。ミッションが、“好き”を形にしてしまう。恋愛ゲームを作るためのはずだった行動が、2人のリアルな恋を静かに動かし始める——その瞬間を瑞々しく描いているのが、この作品の面白さだ。

“視線の芝居”で伝える、あふれる恋の表情——向井康二が見せた新しい顔

『LOVE SONG』で向井康二が演じたカイは、“言えない想いを抱えたまま生きる男”だった。気持ちは確かにそこにあるのに、言葉にできない。目を伏せ、息を飲み、沈黙に逃げてしまう。あの“抑制の演技”が視聴者の心を掴んだのは、カイが常に自分の感情と戦っていたからだ。

向井康二『LOVE SONG』の中毒的な魅力——観れば観るほど、カイが離れない
『LOVE SONG』で向井康二が演じるカイが胸をつかんで離さない。無口でミステリアスな青年の“言葉にできない想い”を、繊細な表情と生歌で描いた演技を徹底分析。

一方、『Dating Game』のジュンジはまったく逆の温度を持つ。ヒルと接しているときのジュンジは、感情が先にあふれ、視線に出てしまう。気持ちが動くと視線が前へ出る。目が合ったらそらす。でもまた見てしまう。そんな“抑えきれない揺れ”が、ジュンジというキャラクターの魅力を作っている。最初は厳格な社長として固い表情を崩さないが、ミッションをこなすうちに“好きになっていく過程”が視線の速度でわかる。

ジュンジはカイよりも、“心の表面”に感情が出てしまうタイプ。好きになるスピードも、心が揺れる瞬間も、カイよりはるかにストレートで、わかりやすい。性格も恋の仕方もまったく違う。でもひとつだけ共通しているのは、感情の“起点”がまず視線に滲むという向井康二ならではの芝居だ。

厳格な社長としての硬さが徐々にほぐれていく過程で、ジュンジはカイとは違った柔らかさや戸惑いを見せる。最初はビジネスとして始まったミッションの中で、ヒルのまっすぐさに触れるたびに、ジュンジの表情はほんの少しずつ変わっていく。眉がわずかに上がる、視線が揺れて迷う、言葉にできない感情が口元に浮かぶ。カイの“静かに押し込める恋”とは違い、ジュンジの恋は“隠しきれずにこぼれていく恋”。含みを持たせる“視線”は共通しているのに、恋する表情の見せ方はまったく違う。だからこそ、それぞれのキャラクターが独自の魅力を帯びてくる。

『LOVE SONG』を観ていた人ほど、『Dating Game』で見せる向井康二の“別の顔”に驚くはずだ。抑えた感情の奥にある静かな熱と、ふとした瞬間に想いが目に出てしまう恋。そのどちらも自然に演じ分けられるからこそ、向井康二は同じBL作品でもまったく違う表情を見せてくれる。

派手さではなく“距離の変化”で魅せる物語

『Dating Game』は、恋愛ゲームという設定のなかで、“好きになる瞬間”の細かな揺れを丁寧に描いた作品だ。派手なドラマ性で押し切るのではなく、ミッションを通して少しずつ距離が縮まっていく二人を静かに、やわらかく見つめていく。その中でジュンジが見せる表情の変化は、向井康二という俳優の新しい一面をそっと示してくれる。

同じBLジャンルであっても、役が変われば恋の見え方がまったく変わる——その面白さと可能性を感じさせてくれる作品だ。ゆっくり育っていく恋が好きな人にも、向井康二の新しい表情を見たい人にも、この作品はきっとやさしく刺さる。

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