韓国映画【#彼女が死んだ】ネタバレ感想|ストーカーが目撃した“死の真相”とは?緊迫の心理スリラー

#彼女が死んだ 韓国映画

2024年に韓国で公開され、日本でも話題となった映画『彼女が死んだ』は、ストーカーが“好きだった女性の死”を目撃するという衝撃的なプロットで幕を開ける心理スリラーである。予測不能な展開と緻密なキャラクター描写、そして現代社会の“監視”や“執着”をテーマにした物語が、観る者の心を深くえぐる。誰が“本当の加害者”なのか、最後まで一瞬たりとも目が離せない作品だ。

作品情報

製作国:韓国/2024年
上映時間:103分
原題:그녀가 죽었다(英題:Following)
監督:キム・セフィ
脚本:キム・セフィ

【#彼女が死んだ】あらすじ

不動産仲介業者のク・ジョンテ(ピョン・ヨハン)は、顧客から預かった鍵で留守中に顧客の家に忍び込み、プライベートを覗き見ることを趣味としていた。ある日、コンビニで見かけたインフルエンサーの女性キム・ソラ(シン・ヘソン)に興味を持ち、彼女の生活をこっそり“覗き見”するようになる。だがある日、忍び込んだソラの家で彼女が死んでいるのを目撃してしまい、混乱と恐怖に襲われる。殺人現場を目撃したジョンテは、殺人の濡れ衣を着せられることに。警察に通報もできず、独自に事件の真相を追う中で、ソラの裏の顔と複雑な人間関係が明らかになっていく。

【#彼女が死んだ】のみどころを解説!

ストーカーが犯罪を暴くという倒錯の構造

本作の魅力は何と言っても、主人公ジョンテが“ストーカー”であるという点にある。悪びれもせず人の部屋に入っては、戦利品として何かを持ち帰る。気になった人物は平気で付け回す。何より怖いのが、本人は自分のことを善良な市民だと思っており、犯罪だとは微塵も思っていない。

ジョンテは明らかに社会的にも倫理的にも逸脱した人物であるが、視点が彼を中心に描かれているため、次第に観客はジョンテに感情移入してしまう。この「奇妙な共感構造」が物語の異様な緊張感を生んでおり、観ている自分が“共犯”のような感覚に陥る。

加えて、ソラの部屋に残された痕跡や人間関係が一つひとつ明かされていく過程は、極めてスリリング。ソラの友人や別のストーカー、家族といった人物が次々に浮かび上がり、誰が“本当の加害者”なのかが揺らいでいく。単なる殺人事件では終わらず、誰が被害者で、誰が加害者なのかという倫理的グレーゾーンに切り込んでいく点が秀逸だ。

中盤から崩れる視点のトリック!観客に仕掛けられた巧妙なミスリード

ソラはインフルエンサーとして、キラキラした生活を見せていたが、物語が進むにつれて「実は被害者を装ってジョンテを罠にはめていたのでは?」という疑惑が浮かび上がってくる。なんと彼女、自分が監視されていることに気づいたうえで、ジョンテが自宅に忍び込むように仕向けていたのだ。人の注目を浴びて生きてきたソラにとって、自分の裏の顔に気づいたジョンテは“消したい存在”になっていく。

最初は「ジョンテ以外にソラを殺した犯人がいる」と思わされていた視聴者も、彼女の周辺人物の証言が出そろってくるにつれて、だんだんとソラ自身に疑いの目を向け始める。前半の巧みなミスリードから、中盤以降でソラの“正体”が明かされていく流れは、本作の大きな見せ場。物語がまるごとひっくり返るような展開に、思わず息をのんだ人も多かったはずだ。

最終的には「一見、被害者に見えていたソラが実は加害者で、ジョンテもまた無罪とは言い切れない」という複雑な構図が見えてくる。ラストでは、ジョンテの主張を信じてくれた刑事ヨンジュ(演:イエル)に、「信じてくれてありがとう」と伝えるジョンテ。しかし、彼女は冷静にこう返す。「忘れないでください。あなたは被害者ではありません」と。この言葉で、ジョンテ自身もようやく、自分の“罪”に気づく。

事件の真相は解き明かされ、ジョンテは冤罪を免れる。でも怖いのは、彼に共感していた私たち視聴者も、ラストでハッとさせられること。「ジョンテって、実は何者だったんだろう?」という気づきがずしんと心に残る。ただのサスペンスでは終わらない、本作ならではの重たく鋭い余韻だ。

ピョン・ヨハンとシン・へソンの狂気に満ちた芝居が光る

主人公ジョンテを演じたピョン・ヨハンは、「いい人」を装いながら平然とストーカー行為を続ける男という、なかなか癖のあるキャラクターを見事に演じきっている。彼といえば『未生(ミセン)』で上司にいびられる新入社員役が有名だが、個人的には『ミスター・サンシャイン』で演じた両班の子息役の、掴みどころのない存在感が印象に残っている。今回もその“何を考えているか分からない”感じが絶妙で、他人の部屋で私物に触れるときの罪悪感と興奮が入り混じる表情や、母親の墓を荒らされたときに噴き出す怒りなど、「一見普通なのに実はかなりヤバい奴」感がリアルだった。

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一方、ソラ役のシン・ヘソンも負けていない。最初はただの被害者として登場するが、物語が進むごとに、その美しさの奥に潜む「何か」に観る者はじわじわと気づかされていく。セリフは多くないが、沈黙の中に込められた視線や、微妙な表情の変化がじつに巧み。ジョンテの前では守ってあげたくなる無垢な女性のように振る舞っていた彼女が、やがて“仕掛ける側”に回っていく展開は、背筋がゾクッとするほど。

とくに終盤、ソラが自作自演で“被害者”を装っていたことが明らかになる場面では、その静けさに狂気すら感じる。明るくコミカルな役の印象が強い彼女だけに、このミステリアスで怖さを孕んだ演技には驚かされた。ヒロインを超えて、“物語をかき乱す存在”としての存在感をしっかり残している。

【#彼女が死んだ】配信情報

2025年5月現在、U-NEXTで配信中。

最後まで真相が揺らぎ続ける本作の余韻を噛みしめたあと、ぜひ併読してほしいのが 『84㎡』。閉じた空間と人間関係が交錯する作風は共通しており、『84㎡』の視点を加えることで本作のテーマを別角度から味わうことができる。

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