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映画『ほどなく、お別れです』──“ほどなく” に込められた三つの意味

葬儀の場で、静かに、何度も繰り返される一言がある。「ほどなく、お別れです」一見するとそれは、“もうすぐお別れの時間です”という、進行上の合図に過ぎない。だがこの言葉は、物語が進むにつれて、少しずつ意味を変えていく。『ほどなく、お別れです』と...
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目黒蓮、静寂に宿る「熱」の正体――『ザ・ロイヤルファミリー』『わた婚』で見せた、唯一無二の表現力

2月6日、目黒蓮主演映画『ほどなくお別れです』が公開される。予告編で印象的なのは、整った輪郭の奥に確かな逞しさを感じさせるその表情に、一筋の涙を浮かべる姿だ。感情を大きく露わにするのではなく、抑えたまま滲ませるようなその佇まいに、物語の余韻...
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涼は、亜子が気づいていることに気づいていたのか――映画『楓』が描く愛のかたち

亜子が入院する病院で、涼はふと、自分が“恵のふり”をしていないことに気づく。慌てて眼鏡をかけ、髪の分け目を整える。その仕草は、正体がばれることを恐れた反応というよりも、自分はまだ、恵でいなければならないと、自分に言い聞かせる仕草のようにも見...
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映画『楓』考察|愛する人を失ったあと、人はどうやって世界とつながり直すのか

恋人が亡くなったあと、もし目の前に“同じ顔”の人が現れたら。映画『楓』は、そんな極端な設定を用いながら、喪失の物語を描いていく。双子の弟・恵を失った兄・涼は、恵のふりをして亜子のそばに立ち続ける。その関係は、不自然で、長く続けられるものでは...
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なぜ最後に、鈴木信也は笑ったのか――新たな立ち位置に見る映画『10DANCE』考察

映画『10DANCE』のラスト、杉木信也と別れたあと、鈴木信也は少し距離を取った場所で、ふっと笑顔を見せる。それは喜びでも、安心でもない。恋が成就したような、軽やかな表情とも違う。むしろ、張りつめた緊張がほどけた一瞬にだけ浮かんだ、短い笑み...
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映画『10DANCE』考察「つまんねぇ」――この一言に、鈴木信也は何を拒んだのか|逃げ道を塞いだ夜

杉木信也が過去を語り、自分を「死神だ」と定義した夜。鈴木信也は静かにつぶやく。「つまんねぇ」 それは、感情の行き場を失った末にこぼれ落ちた一言だった。なぜ、あの瞬間、鈴木は「つまんねぇ」と口にしたのか。その言葉は、何を拒み、何を要求していた...
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「近くにいるのに遠いな」──杉木信也がラストで辿り着いた場所 | 映画『10DANCE』考察

「近くにいるのに遠いな」アジアカップの会場で、杉木信也が静かに口にしたこの言葉。半年という時間は、二人の関係をどう変えたのか。そして杉木は、その“遠さ”を前にして、何を選ぼうとしていたのか。本稿では、「近くにいるのに遠い」という言葉に込めら...
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映画『10DANCE』考察「交われない」――この言葉に、杉木信也は何を隠したのか|壊れないために引いた境界線

映画『10DANCE』考察。「交われない」と杉木信也が告げた理由とは何だったのか。リアナの言葉、世界大会、スペシャルオナーダンスを軸に、その一言に隠された感情と必然を読み解く。
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「恋する2人に恋をした私たち」 ──『LOVE SONG』という感情の記憶

映画『LOVE SONG』を観終えると、キャッチコピーに掲げられた「恋する2人に恋をする」という言葉が、静かに腑に落ちる。物語を理解しただけでなく、説明しきれない感情が胸に残る。そして同時に思い出されるのは、あのとき交わされた視線や、耳に残...
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皆実広見の“First Love”は、恋ではなく世界だった|映画『ラストマン FIRST LOVE』ネタバレレビュー

全盲のFBI捜査官・皆実広見にとって「First Love」とは何だったのか。映画『ラストマン FIRST LOVE』を、過去と現在の物語をたどりながら、“人を信じる最初の基準”という視点で読み解く。