2025年夏、U-NEXTで独占配信が始まった韓国ドラマ『初、恋のために』(原題:첫, 사랑을 위하여)。主演は『SKYキャッスル』で社会現象を巻き起こしたヨム・ジョンアと、『おつかれさま』が記憶に新しいパク・ヘジュン。母と娘それぞれに訪れる「初恋」を描きながら、家族の絆や人生の再生をテーマに据えたヒューマンドラマだ。心温まる一方で胸を締めつけられる瞬間も多く、見終わった後にじんわり余韻が残る作品である。
基本情報
- 作品名:初、恋のために(原題:첫, 사랑을 위하여)
- ジャンル:ヒューマン・ラブロマンス
- 話数:全12話
- 放送年:2025年
- 配信:U-NEXT独占配信
- 脚本:ソン・ウジン
- 演出:ユ・ジェウォン
主要キャスト
- イ・ジアン:ヨム・ジョンア
┗ 建設現場で働くシングルマザー。娘を女手ひとつで育て上げた強い母。 - リュ・ジョンソク:パク・ヘジュン
┗ トソン村で農業を営む男性。ジアンの学生時代の初恋相手。 - イ・ヒョリ:チェ・ユンジ
┗ 医大を退学し、病を抱えるジアンの一人娘。 - リュ・ボヒョン:キム・ミンギュ
┗ ジョンソクの息子。花農家で働き、ヒョリと恋に落ちる。 - チョン・ムンヒ:キム・ミギョン
┗ トソン村の住人で、ジアンにとって実母を重ね合わせる存在。 - ソニョン:キム・ソニョン
┗ ジアンの親友。気さくで人情味があり、母娘を支える。
あらすじ
イ・ジアン(ヨム・ジョンア)は建設現場で働くシングルマザー。誇りでもある一人娘イ・ヒョリ(チェ・ユンジ)は韓国大学医学部に通う優等生だった。しかしある日、大学に電話したジアンは娘が退学していたことを知り衝撃を受ける。教授の理不尽な扱いに耐えられず医師の道を諦めたヒョリは、母の期待から逃れるように親友スクと共に海辺の“トソン村”へ。ほどなくジアンも後を追い、娘を叱責するが、そこでヒョリが脳腫瘍を患っていることが明らかになる。
【初、恋のために】見どころを解説!
みどころ① 田舎町に癒される──個性豊かなキャラクターたち

あえて、ここから語りたい!『初、恋のために』を支える大きな魅力は、トソン村という舞台と、そこで生きる人々だ。都会から逃れるように辿り着いた母娘を受け止めるのは、どこか癖があるが人情味あふれる面々。
何より注目すべきは、『愛の不時着』でおなじみのキム・ソニョンとヤン・ギョンウォンの再会だ。あの作品では村の“おばちゃん連合”と“兵士”として立場の違うキャラクターを演じていた二人が、本作では同じ町の住人として再び顔を合わせる。しかも一歩踏み込んだ“ラブ”を思わせる展開を見せ、胸が熱くなる。『愛の不時着』で見せたコミカルかつ人間味あるやりとりを知っている視聴者にとっては、キャリアを超えてつながる“二人の物語”に感じられ、懐かしさと新鮮さが同時に押し寄せてくる。
イカゲームで強烈な印象を残したカン・エシムの温かく力強い存在感にも惹きつけられる。田舎町ののどかな空気に溶け込むこうした人物描写が、本作の世界を豊かにしている。
みどころ② 三世代を通して描かれる家族の絆と再生物語

本作の根底にあるのは、母娘が再生していく過程である。ジアンとヒョリは血のつながった親子ではない。だからこそジアンは「自分が親から受けられなかった愛情をすべて娘に注ぎたい」と必死に育ててきた。その想いは時に過剰となり、ヒョリには重荷としてのしかかる。母の愛を拒絶するように距離を置こうとする娘と、娘を守りたい一心で束縛してしまう母――二人の関係は病気の発覚を機に大きく揺らぎ、やがて変化を遂げていく。
そこに加わるのが、村に暮らすチョン・ムンヒ(キム・ミギョン)の存在だ。ムンヒはジアンと同じ年頃の娘を亡くし、その喪失感を抱えながら生きてきた女性。認知症の症状もあり、時にジアンを亡き娘と錯覚する場面がある。ジアンにとってその姿は、幼い頃に自分を置き去りにした実母を思い出させ、憎しみと戸惑いを呼び起こす。しかし同時に、母と娘という関係を改めて考え直すきっかけにもなっていく。
実母に愛されなかった“娘”としてのジアン、血のつながりを超えて愛を注ぐ“母”としてのジアン、そして自分らしく生きたいと願うヒョリ。さらに、亡き娘を重ねてジアンに向き合うムンヒ。それぞれが「娘を想い、母を想う」中で、家族の在り方を模索し直していく展開は涙を誘う。
みどころ③ 2世代を通して描かれる“初恋”

『初、恋のために』のもう一つの大きな柱は、母と娘、二世代それぞれに訪れる“初恋”だ。ここではジアン、ヒョリ、ジョンソク、ボヒョン――4人の人物を通して描かれる恋模様に注目したい。
まず母イ・ジアン(ヨム・ジョンア)。建設現場を仕切るたくましい現場責任者であり、娘を一人で育て上げた母としての顔を持つ彼女が、学生時代の初恋相手ジョンソクと再会することで、長い間封じ込めてきた“女性としての自分”を思い出していく。ヨム・ジョンアは、母としての責任感と初恋を前にした揺らぎを巧みに演じ分け、視線や間合いの一つひとつに切なさを宿している。対するリュ・ジョンソク(パク・ヘジュン)は、トソン村で誠実に暮らす花農家の父。寡黙ながらも温かさにあふれ、ジアンを静かに支えていく姿が印象的だ。『夫婦の世界』での裏切り夫役や『おつかれさま』での等身大の主人公とはまた違い、本作では“包容力ある大人の男性”を体現し、ヨム・ジョンアとの“大人のケミストリー”を生み出している。
一方、娘イ・ヒョリ(チェ・ユンジ)は、病を抱えながらも青春の真っ只中で初恋に出会う。花農家の青年リュ・ボヒョン(キム・ミンギュ)と過ごす時間は、彼女にとって何よりの希望であり、彼と共にいることで“自分らしく生きたい”という気持ちを強くしていく。チェ・ユンジは病に揺れる繊細な感情と、恋に胸をときめかせる少女の表情を自然体で演じ、視聴者の心を掴む。ボヒョン役のキム・ミンギュは、都会的なイメージが強い俳優だが、本作では田舎町の素朴な青年を等身大で演じ、新境地を開いた。ヒョリを特別扱いすることなく、対等に向き合う姿勢が彼の誠実さを際立たせ、二人の関係は“純粋な初恋”の象徴として描かれる。
母と娘、大人と若者――二つの世代に訪れる初恋は、形もスピードも異なる。しかし「誰かを大切に思う気持ち」は世代を超えて共通していることを、この4人の物語は教えてくれる。大人の切なさと若さの瑞々しさ、その両方を一つのドラマで味わえるのが本作最大の魅力である。
おわりに
『初、恋のために』は、母と娘それぞれの初恋を通じて、恋愛と家族愛、そして人生の再生を描いたヒューマンドラマだ。ジアンとヒョリ、二世代の恋模様を並行して描くことで、切なさと温かさの両方を味わえる作品となっている。トソン村の美しい風景や個性的な人々の存在も、物語に豊かな彩りを添えている。
配信情報
韓国ドラマ『初、恋のために』(原題:첫, 사랑을 위하여)は、25年9月現在、U-NEXT独占配信中。



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