2024年8月16日から10月4日まで放送された韓国ドラマ『白雪姫には死を~BLACK OUT~』(全14話/MBC金土ドラマ枠)は、ある夜“意識を失った”青年が、2人の少女殺害容疑で10年間服役し、出所後に封じられた真実へと迫るサスペンススリラーである。初回視聴率は2.8%と静かな滑り出しだったが、緻密な構成と俳優陣の演技が高く評価され、回を追うごとに上昇。最終話では全国基準で8.8%を記録し、自己最高を更新した。
“無罪の囚人”となった男の逆追跡を軸に、閉ざされた村社会で露わになる「記憶」「嘘」「罪」「赦し」という人間の本質を描き出す。主人公コ・ジョンウ(ピョン・ヨハン)を中心に展開する心理サスペンスとして、多くの視聴者に強い余韻を残した。
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基本情報
・原題:백설공주에게 죽음을-Black Out
・放送期間:2024年8月16日〜10月4日(MBC/金土21:50)
・話数:全14話
・ジャンル:ミステリー/犯罪スリラー
・監督:ビョン・ヨンジュ
・脚本:ソ・ジュヨン(原作:ドイツ小説 Schneewittchen muss sterben)
・主要キャスト:ピョン・ヨハン、コ・ジュン、コ・ボギョル、キム・ボラ
物語の主人公は、10年前に少女殺害の容疑をかけられ、無実のまま10年間服役した青年コ・ジョンウ。記憶の一部を失ったまま出所した彼は、故郷の村に戻るが、村人たちはいまも彼を“殺人者”として扱っていた。誰もが何かを隠し、語らないその沈黙の中で、彼は失われた記憶と向き合い、事件の真相に近づいていく。
過去の罪、村社会の嘘、そして“誰を信じるか”という究極の選択。閉ざされた世界で、記憶と真実をめぐる静かなサスペンスが始まる。
キャスト紹介と登場人物の魅力
コ・ジョンウ(演:ピョン・ヨハン)

物語の中心を貫く主人公。かつて優秀な医学部志望の学生だったが、18歳の時に19歳の少女2人が殺害された事件に巻き込まれ、記憶もないまま“殺人者”として10年間服役。出所後、故郷の村に戻って、失われた記憶と封じられた真実を追う。
ピョン・ヨハンは、『ミセン ‑未生‐』(2014年)や『ミスター・サンシャイン』(2018年)などの話題作で注目を集めた俳優。静かな佇まいの中に揺れる疑念と恐怖を併せ持つ表情で、彼の演技の振幅の広さが改めて印象づけられた。

ノ・サンチョル(演:コ・ジュン)

刑事としてジョンウの事件に関与する捜査官。警察大学を優秀な成績で卒業し、将来を嘱望されていたが、花嫁を結婚式当日に亡くしてから人生が一変。村の静けさの裏に潜む闇を「捜査」という手段で暴こうとする。
1978年生まれ、2001年から俳優活動を開始。パク・ソジュン、カン・ハヌル主演の映画『ミッドナイト・ランナー』(2017)や『『熱血司祭』(2019年)などで存在感を示してきた。クールな捜査官という役どころを通じて、“正義”と“限界”のあいだに立つ人物像をリアルに表現していた。
チェ・ナギョム(演:コ・ボギョル)

ジョンウの高校時代の同級生で、トップスターとして活躍する女性。長年ジョンウに淡い思いを抱えており、彼の服役中も一方的に支え続けるが、出所後の村帰還を機に彼との関係、そして村の“秘密”に深く絡んでいく。
コ・ボギョルは1988年生まれ。『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』や『ハイバイ、ママ!』などで知られる。童顔で柔らかな雰囲気を持ち、30代に入った現在も学生役を演じても違和感がない“永遠のヒロイン顔”として知られている。
ハ・ソル(演:ム・ボラ)

医学科を中退し、旅先で偶然関わった村でバイトを始める女性。村の外からやってきた“部外者”として、閉ざされた共同体の歪みを目撃する立場にあり、過去に起きた少女殺害事件の存在を少しずつ知っていく。
キム・ボラは1995年生まれ。2005年より子役として活動しており、『SKYキャッスル』で一躍有名となる。若くして芸歴は20年を超えるベテラン女優。
『白雪姫には死を』あらすじ・結末ネタバレ|11年前の事件の真相とは?
序盤|“ブラックアウト”と二人の失踪
ムチョン市の高校生コ・ジョンウ(ビョン・ヨハン)は、同級生ハン・ダウンとユン・ボヨンの失踪事件で緊急逮捕される。事件の夜、彼は酒に酔って記憶を失っており、“ブラックアウト”状態だった。自分が殺したという記憶も、無実だという確信もないまま、血痕や靴、村人の証言など曖昧な証拠が積み上げられ、彼は有罪判決を受ける。
10年の刑期を終えて戻った故郷では、人々の視線が一斉に彼を拒んだ。再会した母チャン・グムヒ(キム・ミギョン)は「お前が殺人者になった瞬間、私の息子ではなくなった」と言い放ち、息子を受け入れようとしない。「どこかでやり直そう」というジョンウの言葉にも応じず、被害者遺族と加害者遺族が同じ町に暮らすという異常な日常の中で、彼女も限界に達していた。「遺体も見つからないまま十年を過ごす人の心は地獄だ」と吐き出した翌朝、グムヒは歩道橋から転落。意識不明の重体となる。
一方、ジョンウは11年前、名門医大合格祝いの席で一目惚れしたダウンの面影を思い出していた。町では、見知らぬアルバイトのハ・ソル(キム・ボラ)が村の異様な空気を観察するように働いている。さらに、今は人気女優となった同級生チェ・ナギョム(コ・ボギョル)も帰郷しており、過去の記憶と現在の現実が少しずつ交錯していく。やがて、山中でソルが人骨とボヨンの名札を発見。長い間封じられていた真実が、再び動き出す。
中盤|連鎖する罪と沈黙の共犯
刑事ノ・サンチョル(コ・ジュン)は、防犯カメラの映像や領収書、当時の調書を再確認し、事件を一から洗い直す。国科捜の鑑定により、ボヨンの遺骨には性暴行の痕跡があることが判明する。加害者はジョンウの同級生ミンス(イ・ウジェ)とビョンム(イ・テグ)だった。二人は酒の勢いでボヨンを襲い、追い詰められたボヨンは逃走中に転落死していた。
ミンスの父シン・チュホ(イ・ドゥイル)とビョンムの父フンス(チャ・スンベ)は、娘を失ったドンミン(チョ・ジェユン)に真相を隠したまま、遺体の隠蔽を図る。ボヨンはまだ息があったが、恐怖に駆られたチュホがスコップでとどめを刺した。村人たちは誰も真実を語らず、事件は“チョン・ジョンウによる殺人”として処理されていく。
一方、もうひとりの被害者ダウンの死には、別の権力の影が潜んでいた。ダウンと不倫していた病院長パク・ヒョンシク(コン・ジョンファン)が、口論の末にダウンを殴打して殺害していたのだ。その現場を偶然目撃したのがナギョムだった。ジョンウに片想いをするナギョムは事件を利用してジョンウの心を掴むことを思い付く。事件の真相を知りながら口を閉ざした彼女もまた“共犯者”となっていく。
事件を「ジョンウが犯人」としてスピード収束させたのは、警察署長ヒョン・グタク(クォン・ヘヒョ)だ。息子のゴノが事件現場に居合わせたことを知り、ゴノの関わりが明るみなることを恐れたグタクは、証拠を操作してジョンウを犯人に仕立てた。村の平穏と体面を守るために、誰もが嘘をつき、沈黙を選んだ。真犯人を知るゴノは自首を試みるが、父親である署長はそれを許さない。ゴノは、罪の重さに耐えきれず自殺してしまう。父グタクは崩れ落ち、封印していた“本当の過去”と向き合わざるを得なくなる。
終盤|真実の露呈と“赦し”の朝
ミンスとビョンムは逮捕され、チュホとフンスも共犯として取り調べを受けた。村人たちの秘密が明るみに出た時、長い昏睡状態にあったグムヒが目を覚ます。真実が明らかになったことを知り、母とジョンウは涙を流しあう。
一方、その頃、ゴノの兄スオ(イ・ガソプ)は秘密の場所に隠していたダウンの遺体を見つめていた。グタクは自宅地下でミイラ化した遺体を発見し絶句する。拘留中のミンスが「全ての指示を出したのはグタク」と供述し、ジョンウは彼の家へ向かう。ガソリンをまいて遺体を焼こうとするグタクに、ジョンウは「なぜ家族を壊した」と叫び、炎の中で彼を止める。「生きて償え!」――ジョンウの叫びに、グタクは崩れ落ちた。
サンチョルの友人弁護士(パク・ヘジュン)の尽力でジョンウは再審無罪となる。ナギョムは精神を病み療養施設へ。グタクは生きて罪を償う道を選んだ。医学部を休学していたソルは、真実を隠さない医師になると決意し復学。グムヒは退院後、再び食堂を開き、ジョンウとスホの穏やかな笑顔がそこにあった。長い夜が明け、ジョンウは朝の光の中で心の中で呟く。「ダウン、ボヨン……もう逃げない」。静かな風が吹き、彼の顔には初めて穏やかな笑みが浮かんでいた。
『白雪姫には死を』ネタバレ考察|記憶を失った男が追う“真実と嘘”
見どころ①|“記憶の空白”が生む真実と嘘
本作のキーワード「ブラックアウト=記憶の喪失」は、単なるミステリーの小道具ではない。“真実とは何か”“誰の証言を信じるのか”という、少しゾッとするテーマを突きつけてくる。事件の夜の記憶を失ったジョンウは、自分の記憶よりも周囲の証言に頼るしかない。でも、その証言こそがねじ曲げられた“嘘の真実”だった――という皮肉。「自分が本当に何をしたのか分からない」という恐怖が、彼をずっと縛りつけていく。
ピョン・ヨハンの演技がとにかく見事。声を荒げることも泣き叫ぶこともなく、表情のわずかな動きだけで“何も覚えていない人間”の絶望を表現している。静かな芝居なのに、観ている側はどんどん不安に引きずり込まれる。そして彼が真実にたどり着いた時、“記憶が欠けていたからこそ見えたもの”があると気づく。記憶は自分のもののようで、実は他人によって簡単に書き換えられてしまう。そんな怖さと切なさを、物語は静かに描き出している。
見どころ②|閉ざされた村社会が映す“人間の闇”
舞台となるのは、みんなが顔見知りの小さな村。一見のどかに見えるけれど、その裏では誰もが誰かの秘密を知っていて、黙り合うことで均衡を保っている。ジョンウが戻ってきた瞬間、その沈黙のルールが一気に崩れていく。「彼は犯人なのか」「それとも被害者なのか」。村人たちは表向きは正義を語りながら、実は自分の立場を守るために嘘を重ねている。
誰もが少しずつ何かを隠していて、その“嘘の積み重ね”が真実を覆い隠していく。
後半になると、村全体が“共犯関係”で成り立っていたことが明らかになる。見て見ぬふりをした人、黙っていた人、嘘を利用した人――。誰もが「悪人ではないけど、無実でもない」というグレーな立場に置かれるのがこの作品のリアルさ。人間の醜さやずるさに思わず眉をひそめながらも、すべての伏線が回収されていく終盤は、息をのむほど見応えがある。見終えたあとには、重いテーマの中にも“謎が解ける気持ちよさ”がしっかり残るはず。
おわりに|“真実”を暴くということ
『白雪姫には死を』は、単なる殺人事件のミステリーではない。人の記憶の曖昧さ、立場によって変わる「真実」、そして“沈黙の罪”を描いた社会派サスペンスだ。主人公ジョンウは、誰かの嘘によって人生を奪われた。しかし、すべてを暴いた後に残るのは「自分を許せるか」というもう一つの問い。彼が見つけたのは、正義ではなく“赦し”の形だったのかもしれない。
また、最後まで登場人物を突き動かしたのは“愛”でもある。母グムヒの無償の愛、そしてナギョムの歪んだ執着――そのどれもが「人を生かし、人を壊す」力を持っていた。息苦しいほどにリアルで、どこか切ない。『白雪姫には死を』というタイトルが示すのは、「嘘の上で眠る白雪姫(=真実)に、ようやく“死”という救いを与える物語」だったのかもしれない。
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